作家・漫画家・同人作家の節税策?について

このページでは、作家や漫画家、同人作家の方に向けての節税策について思いつくままに書いていこうと思います。いわゆる節税とは違うものもありますが、感覚的に節税と感じるものも記載しております。

11月頃までにしておいたよいもの、年内にしておいた方がよいもの、確定申告時に行えばよいもの、5月頃までにすればよいものなどございますので、必要に応じて検討なさってください。

なお、節税対策するためにも、今年、どれくらい売上があって、利益が出ているのかを把握なさってください。

在庫の廃棄(年内に)

作家や漫画家の方は在庫はないかもしれませんが、同人作家の方などで在庫を抱えている方もいるかと存じます。

例えば同人誌などの印刷費や製作費は、売れたときに費用化されますが、年内に廃棄すると廃棄した部分のコストは今年の経費となります。

いつか廃棄しなければとお考えの方は、年内廃棄を検討してみてはいかがでしょうか。

在庫の他、例えば減価償却している備品を廃棄した場合にも、捨てたときに帳簿残高が固定資産除却損などとして経費となります。固定資産台帳がある場合には、それを眺めてみて、既に捨てたものがないか、捨てるべきものはないかをチェックなさってください。

PCやペンタブレットなど仕事で必要なものの洗い出し(年内)

仕事で必要な備品などを洗い出してみてはいかがでしょうか。

足りないものを年明けに買おうかなとお考えでしたら、少し前倒して年内に購入して使うということを検討してみてはいかがでしょうか。

年内に使い始めた場合には、今年の経費となります。ただし、高額なものについては減価償却といって、複数年にわたって経費化することになるかもしれません。

ここで、注意点がひとつ。必要のないものを購入するのはお勧めしません。税金は減ったとしても、結局、お金が出ていってしまいます。

扶養家族の確認(年内)

税金を計算する上で、扶養家族(扶養親族)という考えはご存知でしょうか?

要するに対象となる家族を養っている場合には、所得控除という税金計算上の経費のようなものが増えて、結果、少し税金が減るというものです。

家族を養うというと子供がいなくちゃ使えないのかしらと思うかもしれませんが、子供だけでなく、親や祖父母を養っている場合にも使える場合があります。

よくあるのが、年金暮らしの祖母や母との同居です。あるいはオバ(叔母・伯母)と同居しているという方もいるかもしれません。親族の範囲は実はかなり広いです。

扶養控除などの判定は、ほとんどの場合、12月31日時点で判断しますので、もしも該当しそうなご家族がいる場合には、「扶養控除」の検討をされてはいかがでしょうか。

似ているものとして、障がい者控除や寡婦(かふ)控除、ひとり親控除、配偶者控除や配偶者特別控除などがありますので、使えそうな控除がないか、使うために年内にすべきことがあるかなどをご確認ください。

※障がい者控除は、いわゆる障がい者手帳がなくても使えることがあります。認定書の交付が必要な方はお早めに自治体へ問い合わせください。

小規模企業共済への加入

小規模企業共済って聞いたこととはありますか?言葉だけきくと、ちょっと難しく感じるかもしれません。小規模企業共済のサイトなどを読むと、サラリーマンの退職金にあたるものが自営業にはないので、退職金を積み立てておきましょうというもののようです。

税金計算上、ポイントとなるのは、その掛金が全額、所得控除になるという点です。確定申告書に記載するときには「小規模企業共済等掛金控除」欄に記載ください。社会保険料控除欄の下にあると存じます。

また、1年以内の前納掛金も同様に控除できるということですので、例えば11月頃に手続きしても84万円(月7万円×12か月)の控除が使えるというケースもあるかもしれません。

今年の所得控除で使うためには、加入の手続きをした後に、入金も年内に済ませる必要があります。

手続きはネット上だけでは完了しません。口座確認印をもらうために金融機関へ行く必要があるようです。詳しくは小規模企業共済の公式サイトなどをご確認ください。

なお、受付の窓口の一つとして東京税理士協同組合も窓口となっているのですが、そちらによると、12月6日ごろまでの手続き推奨とのこと。窓口によって締め切りが異なっていることも考えられますので、よく調べた上で動いてください。(最終銀行営業日までセーフだったという話もありますので、最後まで諦めないでいただきたいなと思います。)

また手続きの際には「現金有り」を選択して現金で支払ってください。11月以降に加入手続きして口座振替となると、来年の支払いとなってしまい、今年の所得控除では使えないようです。手続きの際に窓口で「来年ではなく、今年の所得控除で使いたいのです」などと念入りに伝えると事故が少ないかと存じます。

加入される際には、小規模企業共済の公式サイトなどで、加入するメリット、デメリットを研究したうえで、加入なさってください。

倒産防止共済への加入

倒産防止共済はご存知でしょうか?別名、セーフティ共済と呼ばれることもあります。

こちらは事業所得の経費となります。「1年以内の前納掛金も払い込んだ期の必要経費に算入できます」とのことです。こちらも着金を年内に済ませる必要があります。

※確定申告の際には、忘れずに「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を提出してください。

ふるさと納税

ふるさと納税は、興味ない方は本当に興味がないようですが、好きな人は好きですよね。

ふるさと納税は、税金の計算上は、寄付金となります。ふるさと納税の注意点は2つあり、まず年内に支払いを済ませた分が今年の所得控除の対象であるという点、そして「ワンストップ特例制度」を利用したとしても確定申告をする際には再度、所得控除欄に記載する必要があるという点です。確定申告書に書き忘れてしまうと、当然、税金の計算に反映されません。

国税庁のサイトにも

「「ふるさと納税ワンストップ特例」の申請書を提出された方へ

ふるさと納税ワンストップ特例の適用に関する申請書を提出された方が確定申告を行う場合には、ワンストップ特例の適用を受けることができません。確定申告を行う際に、全てのふるさと納税の金額を寄附金控除額の計算に含める必要がありますのでご注意ください。」と記載されております。(引用:国税庁のサイト「ふるさと納税をされた方へ:平成30年分確定申告特集」

また、今まで紹介した小規模企業共済や倒産防止共済と違って上限がありますので、そういった点にご留意ください。

ふるさと納税の上限については、確定申告を税理士に依頼している場合には税理士へ相談すると教えてもらえるかと存じます。

当税理士事務所「創栄共同事務所」では作家・漫画家の方からのご相談・ご依頼を承っております。確定申告のご依頼、その他の相談などお気軽にお声がけください。(電子書籍作家・同人作家など様々な方に対応しております。)

簡易課税の選択(原則、来年用を年内に提出)

消費税の納税義務者の方は、簡易課税の選択をした方が良いかもしれません。

まずはおさらいから。消費税の納税義務者とは、主に2年前の売上が1000万円を超えた方です。

例えば2023年(令和5年)の納税義務者は2021年(令和3年)の売上が1000万円を超えた方となり、2024年(令和6年)の納税義務者は2022年(令和4年)の売上が1000万円を超えた方となります

もしもあなたの2021年(令和3年)の売上が1000万円を超えていた場合には、2023年(令和5年)は消費税の納税義務者となります。納税義務者とは、消費税を納税するという意味です。いくら納税するかというと、その計算方法はふたつあり、作家や漫画家、同人作家の方は「簡易課税」という計算方法を選択した方が税額が少なくなるケースが多いと言われています。ご自身の場合にはどうなのかよくシミュレーションなさってください。

簡易課税を選択する場合には、事前に税務署へ届け出をする必要があるため、原則として、来年、簡易課税を選択したいときは、年内に届け出をする必要があります。

インボイス制度が始まりました。元々免税事業者だったのにインボイスの登録によって課税事業者になった方には、いわゆる「2割特例」があります。消費税の申告の際に、ご留意ください。

青色申告の申請(来年用を年明け3月15日までに)

青色申告は聞いたことがあるでしょうか?

もしも個人事業主の方で、次から青色申告をしたいということでしたら、3月15日までに税務署へ青色申告承認申請書を提出する必要があります。

なお、もしも11月から事業を始めたという場合には2か月以内に提出すれば今年の申告でも青色申告となります。

平均課税(確定申告書を提出する際に)

印税や原稿料、著作権使用料などを受け取っている場合には、平均課税という特別な計算方法によって計算することができることもありますので、ご検討ください。

出版社などから送られてくる支払い通知などは捨てずに保存しておいてください。

平均課税を適用できるかの検討は、損益の計算が終わり、確定申告書を作る際に行いますので、確定申告作業の最後の方で行うこととなります。。

国保の切り替え

こちらの話は税金の話ではなく、国民健康保険料の話となります。

利益が出始めた個人事業主の方にとっては、国民健康保険料ってかなり高いと感じる方もいるかもしれません。

いわゆる健康保険料は、色々なものがあるようですが、主に3つあるように思います。

一つ目は、自治体の国民健康保険料。自治体ごと計算方法や上限が異なっているようですが、主に利益に応じて健康保険料が決まります。

2つ目は、社会保険料。会社を作って役員報酬を支払う形にすれば、社会保険に加入できます。社会保険料は、ざっくりとしたイメージとしては給与やボーナスの額に応じて社会保険料が決まります。ちなみに社会保険料とは、主に健康保険料と厚生年金保険料が合わさったものです。社会保険の話はかなり難しい話になってきますので、ここでは割愛します。

そして3つ目は健康保険組合の保険料です。健康保険組合は、利益ではなく人数によって保険料が決まっているようで、単身者などにとっては、健康保険組合の方が保険料が少なくて済むということもあるようです。一方、大家族ですと高くなるかもしれません。有名なところですと文芸美術国民健康保険組合。こちらに加入している方は多いように感じております。

話が脱線しますが、文芸美術国民健康保険組合は、加入して1年以上の方には「人間ドック」の費用の補助があるようです。会社員などではなく個人で働いていると、なかなか健康診断や人間ドックなどを受けることはしないかもしれません。しかし、せっかく費用を補助してくれるということでしたら、一度、受けてみてはいかがでしょうか。しかも組合報がサイトに載っていたのですが、それによるとどちらの施設で人間ドックを受けても補助します」とのこと。指定された施設だけでなく、好きな施設で受けられるのって便利ですよね。なお、正確な情報・具体的な手続きなどは直接、文芸美術国民健康保険組合のサイトなどから入手してなさってください。

健康保険料が高いなと感じているようでしたら、国保の切り替えを検討してみてもいいのかもしれません。

雑損控除の適用(台風などの被害があった場合)

今年も災害が多い年でした。台風などによってご自宅や車が被害にあった場合には雑損控除の適用も検討ください。

必ずしも「り災証明」がないといけないというものでもありません。

生命保険への加入(年内に支払ったものまで対象)

ご興味がある方は、生命保険へ加入なさるのもよいのかもしれません。

東京都民共済などの各都道府県の共済に加入されている方は多いように感じています。生命保険に加入するかはご本人の考えたよります。いわゆる「国民健康保険だけで十分だわ」と考える方もいるでしょうし、「共済くらいは入っておこうかな」という方もいるでしょうし、「がっつり生命保険に入っておこうかな」という方もいるでしょう。

なお、個人の場合には上限がありますので、支払った保険料が全額、所得控除という税金が安くなるものに使える訳ではありません。

この辺りは保険屋さんに相談したり、保険屋さんのサイトでシミュレーションなさってください。

共済は、各共済のサイトを読むと分かるかと存じますが、生命保険は、各生命保険会社のサイトを読んだだけでは分かりにくいかもしれません。「生命保険料と確定申告」について記事を書きましたので、ご一読ください。

会社への切り替え(会社化・法人成り)

安定して売上が上がりそうということでしたら、個人事業から会社へ切り替えるという方法もありかもしれません。

作家さん・漫画家さんの場合には、平均課税や健康保険料など特有のものがありますので、いつ会社にした方がよいのかは、よく検討した方が良いかと存じます。

確定申告を税理士に依頼している場合には、その税理士から「そろそろ法人成りを検討してみては?」といったアナウンスがあるかと存じます。

会社化すると、社長に役員報酬を払って経費にしたり、賃貸物件に住んでいる場合には社宅化して経費にしたり、出張がある場合には旅費日当の支給して経費にするなど、個人事業では使えなかった節税策が出てきます。

もしも、どうすればよいか一人で悩んでいるということでしたら、弊事務所までお気軽にご相談ください。

「作家さん、漫画家さん向け法人成り(会社化)について」はこちらから

※事務作業が苦手な方は、個人事業の方が楽だと存じます。

色々と書いてきましたが、最後に宣伝です。

当税理士事務所では、作家や漫画家、同人作家の方からの確定申告のご依頼を承っております。お気軽にお声がけください。

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