税務署へ提出する取下書の書き方

このページでは、税務署へ提出する取下書の書き方についてご紹介していきます。

取下書(とりさげしょ)というのは、税務署へ提出済みの書類(申請書や届出書)について、「やっばりやめます」といったときに提出するものです。取下げられないものもありますが、取下げられるものもあります。

「青色申告の承認申請書」を提出した後で、やっぱり青色申告はやめておこうと思ったときとか、「簡易課税の選択届出書」を提出した後で、やっぱり簡易課税はやめておこうと思ったときに提出しているケースが多いのではないでしょうか。

税務署へ提出する取下書は、決まったフォーマットはありませんので、ご自身で作成して提出することになります。

取下書の書き方

取下書の書き方に、決まりはありませんので、正解はありません。

取下書を受け取った税務署側が「いつ提出したどの書類」を取り下げるのか分かるように記載しましょう。もしも記載内容が足りなかった場合などには、税務署から電話がきたりします。

なお、税務署へ提出する書類のサイズはA4サイズにしてください。手書きでも構いません。

下記は一例となります。

・タイトル 「取下書」→「所得税の青色申告承認申請書の取下書」など具体的な書類の名前を入れてもよいと思います。「取下げ書」でも構いません。

・宛先「〇〇税務署長殿」→「渋谷税務署長殿」など税務署の名前を記載します。田中税務署長などの具体的な署長の名前は必要ありません。

・日付 →提出日を記載します。郵送の場合には郵送する日でも良いと思います。

・提出者の情報(住所、氏名、電話番号を記載します。)→電話がかかってくることがありますので、ご自身の電話番号を記載してください。税務署の電話番号をご自身の電話帳に入れておくと、電話がかかってきたときに分かりやすいと思います。税務署から電話がかかってきても慌てることはありません。落ち着いて、聞かれたことに答えましょう。

・本文 取り下げる書類の提出日と書類名、提出方法(紙提出か、ネットやアプリ(e-Tax)での提出か)を記載し、取り下げる旨を記載する。理由も記載しましょう。取り下げる書類の控えがあれば、そのコピーもあわせて提出すると、丁寧だと思います。控えがないという場合には不要です。

 

〇〇届出書の取下書

 △△税務署長 殿

令和〇年〇月〇日 

 

納税地:〇〇都〇〇区〇〇△-△-△

〇〇号室

氏名:△△ △△

電話番号:△△△-△△△△-△△△△

 

令和〇年〇月〇日に書面(あるいはe-Tax)にて、提出しました下記書類を取り下げます。

・「〇〇届出書」

〇〇のため

 

取下げ書面については、廃却して下さいますようお願いします。 尚、参考資料として当該取下げ書面の控えを添付させて頂きます。

以上

 

<追記>財務省の資料を読んでいたら、

「取下書の書式は定められておりませんので、取下対象となる届出書が特定できる よう、提出日、届出書の様式名(表題)、提出方法(書面又は e-Tax)、届出者の氏名・名 称、納税地及び提出した届出書を取り下げる旨の記載をし、署名の上、所轄の税務署まで ご提出ください。」といった記載がありました。

取下書について記載があるのは珍しいと思いましたので、こちらにメモしておきます。

参照:「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答 財務省(令和5年1月 20 日時点)問7」

※署名というのは、手書きで氏名を書くことをさし、記名とは、ゴム印や印字で氏名を書くことをさします。上記の資料には「署名の上」とありましたが、印字だと認められないかというと、取下げ書について、そういった話を聞いたことはありません。

もし既に氏名を印字したという方で、「署名」という部分が気になるという方は、その下のスペースにでもボールペン等で氏名を書いておけばよいと存じます。

また、数年前に税務署へ提出するものは、原則、押印不要となりましたので、印鑑は必要ありません。(「いつものクセで、ハンコ押しちゃったよ」という方は、そのまま提出しても問題はありません。)

電話番号さえ書いておけば、取下書の内容や書き方で何かあったときには、税務署側から電話がきますので、あまり心配しすぎないようになさってください。

令和6年1月からe-Taxでも提出できるようになったそうです。

消費税の課税事業者ではないのに、課税事業者届出書を提出してしまった

取下書を提出するケースはさまざまです。いくつかご紹介します。

たまに見かけるのが、消費税の課税事業者ではないのに、基準期間の売上が1000万円を超えていると勘違いして、課税事業者届出書を提出してしまったというケースです。

取下げの理由としては「基準期間における課税売上高が1000万円をこえていなかったため」などと記載すればよいでしょう。もっと短く「2年前の売上が1000万円以下だったため」でもよいと思います。

中には、消費税の課税事業者ではないのに課税事業者届出書を提出した上に、消費税の申告書を提出して納税してしまったというケースもあります。

ご自身が課税事業者か分からないという場合には、申告書の控えや売り上げの根拠資料を持って、税務署や税理士に相談なさった方がよいのではないかと思います。

簡易課税の選択届出書を出したけれども、やっぱりやめたい

簡易課税の選択届出書を出したけれども、やっぱりやめたいというケースもあります。

簡易課税制度の選択をやめる方法としては、「消費税簡易課税制度選択不適用届出」を提出するのが一般的です。

では、どういった場合に取下書を提出するかというと、例えば3月に簡易課税の選択届出書を提出したけれども、年末になって気が変わってやっぱりやめたいとなったときなどがあるのだろうと思います。

取下書を提出する前に税務署へ電話して、「この間、簡易課税の選択届出書を出したのですが、やっぱり簡易課税はやめたいです。どうすればよいですか」などと聞くと良いと思います。おそらく、提出期限内であれば効力が生じていないので取下書の提出、提出期限を過ぎると「消費税簡易課税制度選択不適用届出」の提出ということになるのではと思います。

年末など期限ぎりぎりに取下書を提出する場合には、郵送よりも税務署へ持っていって提出した方が無難と思います。

「消費税簡易課税制度選択不適用届出」をしたけれども、不適用届けを取り下げたいというケースもあるでしょう。

簡易課税を選択するかどうかによってかなり税額が変わることもありますので、このあたりの取下書の提出はよくあるのではと思っています。

青色申告の承認申請書を出したけれども、やっぱりやめたい

青色申告の承認申請書をやめる方法としては、「青色申告の取りやめ届出書」を提出する方法が一般的です。

青色申告の取りやめ届出書」は青色申告をしていた方が廃業などの理由でやめる場合に提出し、「取下書」はとりあえず青色申告の承認申請書を出してみたけど、やっぱり難しそうだからやめますという場合に提出するしているのかなと思いますが、税務署へ電話かけて、「青色申告をやめたいのだけれど、どの書類を出せばよいですか」と聞くのが良いと思います。

なお、国税庁の公式サイト「所得税の青色申告承認申請手続」によると、

[審査基準]青色申告の承認の取消しの通知を受け、又は「青色申告の取りやめ届出書」を提出した日以後1年以内に申請書を提出していないか等を審査します。

とありますので、また青色申告の承認申請書を提出するかもという場合には、そういった事情も伝えた方がよいでしょう。

 

おわりに

取下書を出すこと自体がレアケースですが、ネットを見ると、上で紹介したケース以外にも色々なケースで提出しているようです。

もしもご自身のケースで取下書出せるのではないかと思ったら、税務署に聞いてみるのが良いと思います。

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