出版社向け:著作者への支払調書の発行について

このページでは、出版社の方に向けて、著作者への支払調書の発行について記載していきます。

確定申告の時期(毎年1月~3月頃)になると、著作者の方から、「支払調書、いつですか?まだですか?」といった問い合わせがくることがあるかと思います。

何故、こういった問い合わせがくるかというと、著作者が確定申告をする際に、支払調書を税務署へ提出していたりすることがあるからです。

本来、確定申告をする際に支払調書を提出する必要はありませんが、税務署の確定申告会場などで申告書を作成すると、つけておいてくださいなどと言われることがあって、提出しているようです。

また、支払調書は出版社から直接、税務署へ提出するものですので、著作者へ支払調書を発行してあげる必要もありません。

そうは言っても、他の出版社が著作者へ渡しているのに、貴社だけが渡さないというのも、なかなか現実的ではないかと存じます。

 

※著作者の方から「源泉徴収票ください。」といった問い合わせがくることもあるようですが、おそらく支払調書のことを源泉徴収票と勘違いしているだけだと思います。源泉徴収票は社員やパート、アルバイトの方に向けて発行する書類となります。

著作者へ渡す支払調書は、どうやって作るのか

弊税理士事務所は、様々な出版社が作成している支払調書を見ることがあります。

そちらを見ていると支払調書の作り方には、3つのパターンがあるように感じました。

①「公式マニュアル」に従い支払調書を作成しているパターン

支払調書には、「公式マニュアル」といいますか、「作成の手引」というものがございます。

国税庁の公式サイトに、「令和2年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」というページがあり、その中で、「第4 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」というページがあり、支払調書の作成方法(記載要領)が記載されております。

こちらに記載してある通りに、支払金額や源泉徴収税額を記載して作成するのが、国税庁(税務署)側が求めている支払調書となります。

しかし、初めて支払調書を作成する場合などは、この手引だけでは、イメージしにくいという部分もあるかと思います。特に下記の2つで戸惑うのではないかと思います。

☆消費税の取り扱い

消費税については、国税庁の公式サイトの中の、「第1 法定調書の提出期限等について」に記載されております。

消費税に関係する部分を引用しますと、「支払金額の記載に当たっては、原則として、消費税等の額を含めて記載してください(消費税等の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで記載しても差し支えありませんが、その場合には、「(摘要)」欄にその消費税等の額を記載してください。)。」

つまり、支払金額は税込で記載するのが原則ということになります。例えば10万円+消費税1万円を支払った場合には、支払金額11万円となります。

また、括弧書きの意味は、摘要欄に「消費税等の額 1万円」と記載すれば、支払金額10万円と記載してもよいという意味です。何故、わざわざ消費税を別にして記載するかというと、支払調書を税務署へ提出する基準が関係しています。

この辺りのことを誤解して、摘要欄に消費税等の額を記載していないのに、支払金額の欄に、税抜金額が書かれているものを見かけますが、それは、正しくはありません。

 

☆発生基準か支払基準か

支払金額を集計するときに、1月から12月までに原価などとして計上した金額で集計すればよいのか、1月から12月までに支払った金額で集計すればよいのか、悩む方もいらっしゃると存じます。

印税等の支払いを当月支払いとしている場合には、この問題は起きませんが、翌月支払いとしている場合などには、支払金額を発生基準で集計するか、支払基準で集計するかによって、支払金額に差が出てきます。 

上記の手引を読むと「令和2年中に支払の確定したものを記載してください。」と記載があるだけで、「支払の確定したもの」がどういう意味なのか、会計ベースで発生したものを集計して記載すればよいのか、支払日が到来したものこそが支払いの確定したものだから支払いベースで集計して記載すればよいのか、はっきりとは書かれておりません。

個人的な感覚としては、支払基準で作成している出版社が多いように感じています。

※もしも前年が支払基準で作成していたら、当年も支払基準で作成しておくのが、無理なく自然だと存じます。前年が支払基準で作成したのに、突然、当年から発生基準での作成に変更したら、支払調書を受け取った著作者が混乱してしまうかもしれません。

②確定申告で使いやすいように支払調書を作成しているパターン

出版社の中には、著作者が確定申告で使いやすいように、支払調書を作成している会社も見かけます。

シンプルに、確定申告で税込の売上として使えるように発生基準で支払金額を記載しており、また、源泉徴収税額も確定申告書にそのまま記載すればよい税額を記載しているというパターンです。

例えば、当年12月末締め翌年2月払いという印税の支払いも当年の支払金額に含めて記載してあったります。

支払基準で作成してある支払調書は、著作者が確定申告をするときに調整する必要がありますが、支払調書の支払金額が売上と一致していますと、調整が必要なく、非常に分かりやすいですし、著作者が確定申告をする際のミスも防ぐことができます。

個人的な感覚ですと、こういった支払調書を送っている出版社は少数派だと感じます。

③それっぽくみえる支払調書を作成しているパターン

中には、どういった根拠や考えで作成したのかよく分からない支払調書も見かけることがあります。どうやっても数字が合いません。

おそらく事務処理が追い付かず、適当に作ったのだろうなと想像しています。

実際に作ってみると分かると思うのですが、支払調書を作成するためには、著作者ごとに、いくら支払い、いくら源泉徴収したのかを集計する必要がありますので、1年分まとめて行おうとすると結構大変です。

また、変な数字の支払調書を著作者に送ってしまうと、著作者が混乱しますので、無理に送らない方が良いのではと思います。

支払調書を送らない場合には、毎回の振り込みの際に、源泉徴収する前の金額と源泉徴収税額などをメール等で連絡しておき、「弊所は支払調書は発行しておりません。なお、源泉徴収税額は、支払い時にお知らせしております。」等、案内するのも一つの方法かと存じます。

著作者への送り方

著作者への支払調書の送り方ですが、以前は、郵送が多かったと存じますが、今はPDF等にして、メール等で送っている出版社も増えてきていると存じます。

最後に

このページでは、出版社の方に向けて、著作者への支払調書の発行について記載しました。

毎月の支払いの段階から、支払調書を作成することを意識して、集計表などを作っておくと、年明けにバタバタすることも減るのではないかと存じます。

予算に余裕があるようでしたら、税理士へ依頼することも可能です。

 

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