そういえば事前確定届出給与の届出を出していた気がする。。。

事前確定届出給与を届け出通りに支給しなかったとき

「事前確定届出給与に関する届出」を税務署へ出したけれども、届出通りに支給していないという会社もあるようです。

中には事前確定届出給与の届け出は、提出したこと自体忘れてしまう会社もあるようですが、この届け出を提出するのなら、しっかりと届け出の内容を理解していないと、予想外の出費になってしまうかもしれません。

 

定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)

まず、年に複数回支給するといった届け出をしたけれども、その通りに支給したときもあれば、支給しなかったときもあるといったケース。

「定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)」と検索すると国税庁のサイトが出てくるかと存じますので、そのページを参照なさってください。

(検索で出てこなくなってしまったようですので、しばらくの間、国税庁の該当サイトのURL記載しておきますね。 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/16.htm 「定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)」、2018年3月の国税庁のサイト変更の影響が未だに続いているのでしょうか。

 

どうでしょう。これ、読むと難しいですよね。

回答としては、「損金の額に算入」とありますが、その理由を読んでいくと「複数回の支給がある場合には、原則として、その職務執行期間に係る当該事業年度及び翌事業年度における支給について、その全ての支給が定めどおりに行われたかどうかにより、事前確定届出給与に該当するかどうかを判定する」とあります。であるならば、「不算入ではないかしら?」とも思いますが、まだ続きがあります。

ただし「その支給しなかったことにより直前の事業年度(X+1年3月期)の課税所得に影響を与えるようなものではないことから、翌事業年度(X+2年3月期)に支給した給与の額のみについて損金不算入と取り扱っても差し支えないものと考えられます。」

ややこしい。文章を読んだだけではよく分からないという方は、図を描いてみると分かるかもしれません。

 

なお、「「事前確定届出給与に関する届出書」を提出している法人が特定の役員に当該届出書の記載額と異なる支給をした場合の取扱い(事前確定届出給与)」というものも国税庁のサイトにあります。

(これも検索で出てこなくなってしまったようですので、しばらくの間、国税庁の該当サイトのURK記載しておきますね。 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/13.htm (「事前確定届出給与に関する届出書」を提出している法人が特定の役員に当該届出書の記載額と異なる支給をした場合の取扱い(事前確定届出給与)))

「事前確定届出給与の意義」のページの方が分かりやすい?

「事前確定届出給与の意義」で検索すると国税庁のホームページが出てきます。下の方にスクロールしていくと、「事前確定届出給与の意義」の解説が書かれています。

上記の「定めどおりに支給されたかどうかの判定」に書かれていたことと同じような内容が書かれているのですが、こちらの方が分かりやすいかもしれません。

事前確定届出給与が未払いのケース

上記の「事前確定届出給与の意義」の中で、未払いのケースについても書かれています。

 

支給しなかった場合の源泉所得税についての問題

事前確定届出給与については、法人税の計算上の損金になるかといった論点の他に、源泉所得税の問題もあります。

諸説あるようですが、よく言われていることは、支給しなかった場合にも源泉所得税は発生するということ。

お金をもらっていないけれども、なぜですか?

「給与所得の収入金額の収入すべき時期」で検索すると、所得税法基本通達36-9が出てくるかと存じます。要は、株主総会の決議等により支給日が定められている給与等はその支給日が収入日となるというもの。事前確定届出給与は定められた支給日が収入日となってきます。よって源泉所得税も発生してしまうという考えなのでしょう。

(これとは別に「給与が一部未払の場合の源泉徴収」で検索すると出てくる「役員に対する賞与は、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日において支払があったものとみなされ源泉徴収を行う」というものを根拠とする方もいます。)

 

ただし、「所得税法基本通達28-10」で検索すると、所得税法基本通達28-10の「給与等の受領を辞退した場合」が出てくるかと存じます。(国税庁のホームページですと、一番下の方です。)

それによると「支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したもの」は「課税しない」とありますので、この源泉所得税をなしにするためには、支給日前に辞退する旨記載した書類を役員から会社へ提出しておき、その上で、事前確定届出給与の支給しない旨を決議しておくなどの対策をした方が良いのではないかと存じます。

その際に、日付にご留意ください。支給日前にというのがポイントとなります。

事前確定届出給与はややこしい

事前確定届出給与はややこしいですし、失敗したときの税額への影響も大きいです。

よく理解した上で、事前確定届出給与の届け出をなさった方が良いのではないかと存じます。

事前確定届出給与について疑問点があれば、税務署へ確認することをお勧めします。