こんにちは。このページでは、事前確定届出給与の届出書の日付についてご紹介していきます。
まず事前確定届出給与とは何かという話ですが、それについて書くと長くなるので、このページでは、割愛します。
少しだけ書くと、会社の役員に対する役員報酬は、原則、経費にならない。(税金の世界では「損金不算入」といいます。)しかし、要件を満たして支払ったものについて、経費として認めてあげますよという法人税のルールがあります。
役員報酬を経費にするための方法はいくつかあるのですが、その中の一つに「事前確定届出給与」というものがあります。
事前確定届出給与はその名の通り、「事前」に税務署へいついくら誰に支払うのかの「届け出」が必要です。
今回は、その届出書の日付、届出期限についてご紹介していきます。
事前確定届出給与は事前に税務署へ届け出なければならないということをご紹介しました。
そこで重要となってくるのか、「届出期限」です。
この届出期限は①から③まで3つに区分されています。
②は新設法人、つまり新しく設立した会社が対象となります。③は臨時改定理由、つまり役員が病気などで急遽、退任した場合などが対象となります。
問題は①です。株主総会等の決議により役員の職務につき「所定の時期に確定した額の金銭等を交付する旨の定め」をした場合で、②・③以外のケースが①となります。ですから、ほとんどの会社が①に当てはまると存じます。これの日付が間違いやすいのです。
①に記載する日付はイとロのいずれか早い日となっております。
ロは会計期間4月経過日等、職務執行期間開始の日の属する会計期間開始の日から4月を経過する日を記載します。例えば3月末決算でしたら、会計期間開始の日(4/1)から4月を経過する日(8/1の前日)、つまり、7月31日となります。
イは①(事前確定届出給与に係る株主総会等の決議をした日)又は②(事前確定届出給与に係る職務の執行を開始 する日)に記載した日のうちいずれか早い日から1月を経過する日」を記載します。
仮に決議した日が5/25、職務執行を開始する日が6/1だとすると、早い日は5/25となります。その日(5/25)から1月(=いわゆる1カ月のこと)を経過する日はいつですかというのが、ポイントです。
ネットを検索してみると、答えが2通りあることに気づくと思います。
回答A:6/24、(5/25から1月を経過する日(6/25の前日)という考え)
回答B:6/25、(5/26から1月を経過する日(6/26の前日)という考え)
国税庁のサイトにある「事前確定届出給与に関する届出書の記載要領等」によると、正解は6/25です。意外なことに記載要領に答えが書いてあるのです。それだけ間違える人が多いということだと思います。
会計期間開始の日(4/1)から4月を経過する日は7/31なのに、決議した日(5/25)から1月を経過する日は何故6/24ではなく、6/25なのかという疑問が湧いてくると思います。
ちょっと分かりにくいとは思うのですが、国税通則法10条の「期間の計算及び期限の特例」を検索して読んでみていただければと存じます。
「決議した日から1月を経過する日」の数え方は、初日(5/25)は不算入(カウントしない)で、その起算日(5/25を数えなかったのでその翌日の5/26のこと)の翌月の応当日(6/26)の前日(6/25)で満了するということのようです。なお、翌月にその応当する日がないときは、その月の末日となります。
税務の世界での日付の数え方は複雑です。日付が出てきたら、毎回、確認することをお勧めします。
このページでは、事前確定届出給与の届出書の日付、届出期限についてご紹介しました。
特に急いているときは、「あれっ?どっちだったかな?」「前任者の書き方、間違っていないかな?」「ネットで検索していると、答えが違っているみたいだけど、どうすればいいのかな」と慌ててしまうことでしょう。
国税庁のサイトには、様々な書類の様式が載っています。そしてそれにはその書類の記載要領も合わせて書かれています。
普段は必要な届出書の部分だけ印刷して、記載要領は読まないよという方もいるかもしれません。しかし、国税庁のサイトは、親切、丁寧に解説してくれていて、意外と便利です。
分からないことがあったら、まずは国税庁のサイトを検索してみることをお勧めします。