インボイス制度の導入にあたり、無申告の方からの相談が増えています。
このページでは確定申告を一切していないけれども、今から確定申告をしたいという方に向けて、確定申告のご案内をしております。
なお、税務署が来るまで放置するという方針の方のお役には立てないと存じます。
※税理士は脱税の相談には対応できません。
確定申告を放置していて、今から申告しようか、でも莫大な税金が発生するから放置しようか、周りにもバレていない人もいるようだし、、といった具合にどうしようか迷っている方もいるかもしれません。
結局のところ、ご自身がこれから先の人生を、どう生きていきたいのかということではないかと思います。
(追記)
某漫画家さんが所得税法違反(単純無申告)の疑いで地検に告発され、在宅起訴されたというニュースを見かけました。ご本人のコメントを読むと、どうやら確定申告をしていなかったようなのですが、作品名やペンネームだけでなく、本名や年齢、住んでいる地域も公表されてしまうのですね。
R1年からR3年までの3年間の確定申告をせずに、調査査察部がR4年10月に強制調査に着手。告発されたのはR6/2/29、在宅起訴されたのはR6/4/2とのこと。通常の税務署の調査ではなく、査察部の調査というと、なかなかハードだったのではないかと思いますが、この間、どんな気持ちだったのでしょうか。
確定申告をしていないという作家さんや漫画家さんには、一刻も早く確定申告を行うことをお勧めします。
いざ確定申告をしようと思っても、いきなりはできません。
まずは、確定申告のもととなる資料を準備するところから始まります。
どんなことをして収入があったかによって、準備するものが違います。
もしもあなたがそのお仕事を専業でしていて、収入があった場合には、「事業所得」というカテゴリーに入ってきます。事業所得の場合には、毎年の売上と経費を計算して、その差額の利益に対して税金がかかるという仕組みとなっておりますので、まず売上と経費を計算することになります。
税金の計算は年単位で行います。毎年1月から12月までを一区切りとして、売り上げを集計します。
振り込みで売上金を入金してもらっている場合には、そこから売り上げを集計します。出版社から入金がある場合には、源泉税が引かれていると思いますので、支払通知や支払調書がもとに売上を集計します。もしも通知書をなくした場合には、再発行を依頼するという方法もありますが、最近はシステム変更により古い書類は再発行は出来ないという出版社もあるようです。その場合には、入金額からなんとかして売上額を求めるしかありません。
また、確定申告していない方の中には、足がつかないようにと現金回収している方もいるかと思います。現金で受け取っているから、売り上げが分からないという方は、どうにかして売り上げを推測して売上金額を計算するしか方法はないのかもしれません。
例えば、アシスタントをしたときは、時間×単価でその日の売上金額を求めたり、物販した場合には作った作品の数から売上金額を求めたりと、考えられる合理的な方法で求めてみてはいかがでしょうか。
なお、推測で売上金額を求める場合に、一番やってはいけないことは「売上を少なく見積もる」ことです。
売上を少なく見積もると、それは脱税になってしまうでしょう。脱税はペナルティーが重いのです。
売上の集計方法については、理解してくださる方がおおい印象を受けています。1年間で売れたものの金額を日本円で集計するだけですので、考え方としては簡単です。
しかし、原価となると、ちょっと難しいなと感じる方もでてくるかもしれません。
原価とは、売れたものの、製作費や仕入れた金額を指します。お客様へ渡すものと考えてもいいのかもしれません。例えば、あなたが即売会で収入を得た場合には印刷費などの作品を作るために直接必要だったものが原価となります。
一体、何が原価になるのかは、あなたのご商売次第ですので、何とも言えません。突き放した言い方になってしまうかもしれませんが、ある程度はご自分で考えないと確定申告の作業は進みません。
一人では無理だという方は、税務署へ相談に行くか、税理士へ確定申告を依頼するという方法があります。税務署へ相談に行く場合には、まず電話などで予約をなさってください。いきなり行っても、先方も困ってしまうと存じます。
税理士へ確定申告を依頼すると、当然、手数料が発生します。
ここでちょっと注意点をご案内します。
それは「年末時点の在庫を忘れずに把握する!」ということです。
在庫とは年末時点の売れ残りの原価を指します。
先ほどの即売会を例に挙げると100本冊分の印刷をして、12月末時点で10冊残っていたら、その10冊が在庫です。
在庫を在庫表(棚卸表(たなおろしひょう))にどんどん記載していきます。手書きでもよいですし、エクセルなどで作成してもよいです。
在庫の一覧ができたら、それぞれの価格(原価)を求めます。ここで販売価格で計算してしまう方が多いのですが、在庫は、原価(自分が負担した金額)で把握しますので、ご留意ください。
※税務署へ届け出をしていない場合には、「最終仕入原価法」によって計算してください。
最後に、合計金額を計算しますので、できればエクセルなどのソフトで集計した方が楽かもしれません。
続いて、経費の集計です。
経費とは、例えばパソコンや電話代、電気代、WIFI代など、商売に関係するけれども、直接は売上と対応していないものを指します。
この「経費」はどこまでが経費なのかが、みなさん、悩むところです。どこまでが経費なのかは特に決まってはいないのですが、ひとつ言えることは、「生活費は経費にならない」ということです。
生活費は経費に入れてはいけません。
税金は、売上から原価と経費を引いて、計算します。経費が多くなると税金が減るので経費を増やしたいと考えて、ついつい生活費をいれてしまう方がいるようなのですが、それは脱税ではないでしょうか。
また買い物の際に、生活費と仕事の経費を一緒に購入してしまっているという方。後から分けるのは大変ですので、生活費と仕事の経費は別々に領収書をもらうようになさってくださいね。
領収書には明細の記載がないので、バレないだろうと考えて、そういう領収書を経費に入れている方もいるようなのですが、ダメですよ、こういうことは。
いい加減なことをしていると、本当は仕事用の経費も含まれていたのに、全額、生活費として扱われてしまう可能性もございます。
所得控除というと、全然何のことだが分からないという方もいると思います。「所得控除」とは何かというと、収入の種類に関係なく、税金を低くできるものと言ってもいいのかもしれません。
有名なところですと「配偶者控除」「寡婦(かふ)控除」「障がい者控除」「寄付金控除(ふるさと納税)」などがあります。収入の種類に関係なく、サラリーマンでも個人事業主でも、要件を満たせばこれらの控除は引くことができます。
また、生命保険や健康保険の保険料、年金のn支払いなども所得控除の対象となりますので、書類をなくした方は、書類の再発行の依頼をしましょう。
税額控除とは何かというと住宅ローン控除などを指します。もしも該当するようでしたら、申告書への記載を忘れないようになさってください。
このページでは確定申告を一切していないけれども、今から確定申告をしたいという方に向けて、確定申告のご案内をいたしました。
確定申告をしていないのならば、一日も早く確定申告書を作成して、納税なさることをお勧めします。
※インボイスの登録をしたという方は、消費税の申告も必要になりますので、忘れずに対応してください。
なお、もしも税理士をお探しでしたら、当税理士事務所へのご依頼ください。
余談ですが、埼玉県草加市のホームページに申告しないとどうなるかという4コマ漫画が掲載されております。気になる方は「草加市 市民税・県民税の申告」などで検索するとたどり着くかと存じます。
「使っている業者が確定申告していないみたい」「〇〇さんの家のお父さん、税金はちょっとしか払っていないらしい。」「あの△△サークル、全員確定申告していないらしい」「上司や同僚、副収入があるのにその税金払っていないみたい」など身近な方々の税金情報は、割と耳に入ってくることがあるようです。
「確定申告を一切していない」あるいは「確定申告をしているかは分からないけれども、税金をごまかしている」といった情報をお持ちで、税務署へ通報したいというときは「税務署 通報」などで検索すると、国税庁の「課税・徴収漏れに関する情報の提供」のサイトが出てくるかと存じます。
税務署へ電話や郵送でも受け付けているようですが、今はサイトから簡単に通報できますので、情報をお持ちで通報したいという方は国税庁のサイトから情報提供してみてはいかがでしょうか。