県税事務所などから、「お仕事の内容についてのお尋ね」という書類がくることがあります。
これは、「個人事業税がかかる仕事をしているのかどうかを教えてね」という書類となります。
なお、個人事業税は、都道府県が管理している税金でして、書類のタイトルや書類の中身は、都道府県ごとに少しずつ違っているようです。
東京ですと都税事務所から「個人の事業内容に関する回答書」や「個人事業税収入等明細書」というタイトルの書類がくることがおおいように思います。
これらの書類を受け取った方の中には、「何が聞きたいのか分からない」「どうやって回答すればよいのか分からない」「なんて書いたらよいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
原因の一つに、お役所側の立場で作られた書類であって、相手(都道府県民)に伝わるように書かれていない点が挙げられるかと思います。
この書類の目的は、「個人事業税の対象となる仕事をしているかを、都道府県税事務所が確認したい」ということになります。
というのも、「個人事業税は指定された仕事をしている方にだけ税金をかけます」という税金となっているため、仕事の内容を確認しないと、税金がかかるのかかからないか分からないのです。
「個人事業税 法定業種」で検索すると、ずらっと出てくるかと存じます。
大雑把なイメージとしては、ほとんどの仕事でかかり、一部、個人事業税がかからない仕事があるというイメージとなります。
福井県が、「個人事業税 業種の認定基準について(1)」という資料を公表しているようです。福井県の資料は、読み手にとってどんな仕事だと税金がかかるのかイメージしやすいように書かれていると感じましたので、参考になさってください。(デザイン業、美容業、インストラクターなどについては、個人事業税 業種の認定基準について(3) に記載されておりました。)
例えば、「同人誌販売は出版業に該当するので、課税対象です。」「印税などの著作権の対価は、課税対象ではありません。」といった内容が書かれています。
個人事業税というのは何とも分かりにくい税金でして、特に分かりにくい点が、同じ職業でもかかる人もいれば、かからない人もいるという点です。
何故こういったことが起きるのか。その理由は、
・都道府県が管理している税金であるため、県ごとに判断基準が違っている
・商業目的なのか、芸術的なものなのかなど目的によっても課税されるか分かれると言われている
・何より都道府県税事務所側の担当者によって回答が変わると言われている
・都道府県税事務所側が処理を忘れていて、納付書を送ってこないことがある
ことなどが挙げられます。
個人事業税は、所得税の確定申告の計算をする上で経費になります。所得税は超過累進税率で税率が決まります。納付書が送られてくるタイミングが遅くて、その年の経費に入れられず、翌年の経費になってしまうと、余計な税金を払うことにもなりかねませんし、資金繰りも厳しくなるでしょう。
この書類、要求が毎年、細かくなってきているようにも感じます。都道府県民の負担が増えているだけではないでしょうか?
しかも書類の文面に間違いがあったり、違う業種の書類が届いたりと、かなり混乱しています。
確定申告を税理士へ頼んだという方は、その税理士へ相談すると、どうやって回答すればよいのか教えてもらえるかと存じます。
確定申告だけを依頼しているから、こういったことを相談すると高額な追加料金を取られるのではないか心配という方もいるようです。追加料金をいただくのかどうかは税理士事務所ごとに違います。まずはその税理士へ料金面も含めて確認してみてはいかがでしょうか?
以下は筆者の個人的の意見となります。
県税事務所などが行っている「仕事の内容の確認」作業って、無駄な作業だと思うのです。
特定の業種に課税することになっているので、こんな作業が発生しているのであって、個人事業主に対して一律に課税すれば、こんなことを行う必要はありません。
一律で課税すると今まで課税されなかった方が課税されることになり増税となりますが、そこは事業主控除額を増やすことで全体のバランスを調整すればよいのではないかと思います。そうすれば「仕事の内容の確認」という無駄な作業を行う必要がなくなります。
はやくルールを変更して、納税者のストレスを減らしてほしいものです。